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コラム:アニメーションの価値・フィクションの力

 大学に来て結構長くなるが、しばらく前から気づいたこととして普通の学生・教員はアニメや漫画をほとんどみないということがある。
 私は小学生くらいのときからアニメを見続けてきて、漫画も読み続けてきた。高校でオタクサークルに入ってからは回りにオタクな人たちが常時いたのでアニメや漫画を見たり読むことはごくごく当たり前のことだと思っていた。
 だが、大学に入ってしばらくして、回りの大学生のほとんどはアニメや漫画をほとんど見ていないということに気がついてしまったのだ。前の学校で比較的オタクだろうという人たちとも話をする機会があったが、その中でも私のほうがアニメや漫画にハマっている度合いが大きかったので「あれっ」と思った経験がある。この学校では俺のレベルでオタクのトップクラスなの? とすごく違和感を感じた。
 今ははっきり分かる。アニメや漫画は、日本人の大多数はほとんど興味を持たないメディアなのだ。

 言い方を変えるなら、ほとんど大多数の日本人にとってアニメや漫画は「つまらないもの」でしかないのだ。そう結論して、私はすごく驚いた。アニメや漫画は「娯楽」ではないか。娯楽のはずなのに大多数の人は興味を持たないのだ。
 だが、アニメや漫画が大好きな私からすれば、アニメと漫画はくだらないものではないと断言できる。非常に優れた表現手法でストーリーを紡ぎ出す素晴らしいものだと私は確信している。だから私はこう思うことにした。「アニメと漫画の価値が分からない大多数は、教養が低いのだ」と。
 いや、その人が何に興味を持とうとそれはその人の趣味だ。だからアニメと漫画を趣味にしないことを悪く言うものではない。それでも私は、アニメと漫画の価値が分かる人は内面が優れていて、教養がある・才能がある人なのだ、と今はかなり本気で思っている。

 アニメと漫画に限ったことではない。私は活字の本が好きで、また新聞を読むことが好きだが、私の周りの大多数の大学の学生や教員は、活字の本も新聞もそれほど読んでいない(と感じられて仕方がない)。私は活字の本と新聞は大学の学生や教員ならチェックしているものだろうと思っていたので、そうでもないということに気づいてこれもびっくりした。

 改めて考えてみると、大体数の日本人は一体何に興味を持っているのだろう? と私は現在気になっている。アニメ・漫画・活字の本・新聞はそれほどメジャーではないと私は実感している。かといってスポーツがそれほど流行っているようにも見えない。野球とサッカーが日本ではメジャーだが、それでも「好きだ」と断言する人は20%もいないだろうと思う。

 私はアニメ・漫画・活字の本・新聞・F1が特に好きだ(一番力を入れている自然科学やPC・ウェブはおいておく)。そして何でもいいが、何かのオタクであるような、何かにめちゃめちゃハマっているような人こそ人間的に魅力的だと最近は思っている。何かのオタクでないという人は魅力的ではないと思うし、またその何のオタクでもない・つまらない人が多いんじゃないかと最近は思えて、「もっとみんなオタクになろうよ」といいたい気分になっている。

 アニメ・漫画に話を戻すと、全体的に「フィクション」の力が弱くなっているのではないかと思う。「作り話に触れて考える・楽しむ」ということ。架空の話を聴いて自分の経験のように考え込んだりワクワクする経験が、流行らないのが現在じゃないかと思っている。だからアニメと漫画に限らず、「小説」「映画」「演劇」「ドラマ」とかもそれほど流行ってないんじゃないかと思う。
 私はこの空想力の欠如はなんかやばいんじゃないのかと思う。私は自分がフィクションが結構好きだから思うのだが、フィクションがさっぱり流行らないという状況はなんかやばいような気がする(だからといってノンフィクションが流行っているようにも見えないし)。…抽象的ですが、なんかいけない予感を感じるのだ。
 だからアニメ・漫画を楽しめる人というのはフィクションを理解するだけの素養があるという意味で、非常に教養がある人だと思うのである(もちろん小説でも映画でも良いのだが)。

 またフィクションの中でもアニメ・漫画・ライトノベルに特徴的な点は「人生に対して肯定的」なストーリーが多いということだ。楽しい話が多い。嫌なことがほとんど起こらない。その点を取り上げて「子供だまし」という風に否定的に捕らえる人もいるだろうが、私はアニメ・漫画は「人生をポジティブに捉えたフィクション」だと肯定的に捉えている。
 なるほど、アニメや漫画の都合が良い・楽しいことばっかりの話は嘘っぱちだ。だがそれをいうのならばTVドラマや純文学で描かれる、嫌なこと満載のネガティブな話だって嘘っぱちではないか。いくらなんでも実際の人生はあんなに嫌なことばかりではない(と私は信じる)。
 基本的にフィクションは現実とは違う、実際よりも誇張して話を作るものだと思っている。それを「楽しいことばっかり」に誇張するか「嫌なことばっかり」に誇張して描くか、アニメ・漫画と他メディアの違いはその違いだと思う。世界をポジティブに捉えるか、またネガティブに捉えるか。アニメ・漫画は世界をポジティブ・肯定的に捉えてつくったストーリーが多い。そんな世界観が好きだという心境は、とても健全だと思う(もちろん人生の負の部分を見つめることも大切だが、それは良い部分を見ることと等価値だと思う。どちらが優れているということではない)。
 私の思い込みでは、アニメ・漫画のメッセージとは「世界は楽しいんだ! 面白いんだ!」というそういう思想が表現されているのではないかと思う。人間の負の部分に注目して世界を描くのはなるほど価値があるストーリーが作れる。だが、アニメ・漫画のような人間の良い部分に注目して作ったストーリーだって、考えるに値する優れたフィクションは作れるはずだと私は思っている。

 アニメ・漫画に限らず、小説や映画やドラマや演劇を含めて「フィクション」というものになんの価値があるのか? 世界を変える力があるのか? ということがそもそも私は気になっている。だが、私は「フィクションには何かの価値があり、何かの力がある」という根拠のない予感を感じている。こんなにすごい表現手法がなんの価値もないはずがないと思っている。

 フィクションには価値があり、そして「世界をポジティブ・肯定的に描いたフィクション」であるアニメーションや漫画のストーリーにも、価値があると私は思っている。それを理解できる人は非常に教養があるのだ。


…以上、むにゅさんの記事にインスパイアされて考えてみたこと(あくまでも「きっかけ」であって直接的な返信とかコメントにはなっていない)。

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雑記 自分がオタクである事を考える。恐らくこういった類のものは二度と書かない。
 今更ながら日本というのは本当にオタクに厳しい土地なんだと思った。アニメ・コミックなどのオタク文化発祥の地である日本が厳しいのにも関わらず、世界的な評価はそれ程悪いものでもないだろう。その中でも最大級の評価或いは賛辞と捉えているのが『日本のアニメ絵は現代
  • 2007/06/05
  • from : サトシアキラの湾岸爆走日記(自転車でね♪)改
たいがい無駄 あんがい無駄
 利口系無重力blog@北大さん「コラム:アニメーションの価値・フィクションの力」『だが、大学に入ってしばらくして、回りの大学生のほとんどはアニメや漫画をほとんど見ていないということに気がついてしまったのだ。前
  • 2007/06/05
  • from : 隠れ蓑~penseur~

コメント一覧

初めてコメントさせていただきます。たいへん私にも感心の高い話題ですので。
フィクションに力がない。この種の議論はけっこう歴史的なものかなと思います。
たとえば文学でいえば、明治から大正と、文壇が非常に隆盛した時期がありました。夏目漱石なんかを大変な数の人が読み、話題にしていた時期でしょうか。出版文化が突出し、それに対して金銭的なシステムも機能しました。現在はこの出版システムの名残にテレビメディアが被さり、さらに転換期を迎えているといえるでしょうか。出版ビジネスがうまく機能していない、その結果、作家がアイドル的にメディアに遇せられる、そんな現状です。
私はブログには力があると思います。文学的な意義と思想の運動が可能だと、感じています。
まあいってしまえば、文学なり芸術なりを支えてきたのはいつの世も社会のほんの数%の人間たちでした。現代においてもそれは変わるはずがなく、しかしメディアの発達により、マイノリティであることをマイノリティが極端に自覚させられる環境にあるといえるでしょうか。
それでも構いはしません。フィクションが好きな人間は、ただでは滅びませんから。

  • 2007/06/05
  • 石田麦 ◆ -
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  • [ 編集 ]

石田麦さん

 コメントありがとうございます。「フィクションの価値」という問題はおっしゃるとおり古典的な問いだと思います。私もそれは分かって改めて記述してみました。古典的ではあるものの、それでも結構重要な問題だと思うので。それでいてあまり意識されることもない。
 明治大正時期のことは、恥ずかしながら不勉強でそれほど詳しくはないのですが、過去に小説が重視された時代があったというのならばすばらしいと思います。現在はメディアの種類が増えたこともあり、小説が流行ることはないような気がしますが、フィクションそのものは面白いと私は思っています。
 ブログに力があるかどうかは正直分かりませんが、「あってほしい」と個人的に期待しています。だから私はブログをやっているのかもしれません。
 フィクションが好きな私からすれば、マイノリティであるにせよ「これが無価値であるはずがない」と思えて仕方がありません。好きだと自分で思ううちは、どう思われようとフィクションを大切にしたいと思っています。

  • 2007/06/05
  • 中谷@無重力 ◆ -
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  • 2008/02/10
  • - ◆
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