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HASTICパネルディスカッション「北海道宇宙開発『次の10年を展望する』」メモ

 HASTICのパネルディスカッションを聴講してきたのでメモ書きを書いておきます。大体こんなような話をしていました。

 参加者
藤田@北大 宇宙環境利用
永田@北大 CAMUIロケット
植松@植松電機
佐鳥@道工大 小型衛星
東野@室蘭工大
中村@サイエンスコミュニケーター

 上記6名が一人10分で話して質疑応答というスタイル。以下、追記。


藤田@北大 宇宙環境利用
 宇宙環境利用は「宇宙と地上をつなぐ」ものであるべき。今までの宇宙開発は手段が先行していて目的がないものが多かった。宇宙ステーションも作ってから「さて、どう使おう?」と考えているような状態だ。かつてのアポロ計画には「月に行く」という明確な目的があって行われた。現在の宇宙開発には目的がない。
 地球や社会に対して宇宙開発を還元したい。個人的にはエネルギー問題に関心があり、その解決に寄与したい。
 2つ目に地域のために何ができるか、ということがある。北海道になにか還元をしたい。研究室の卒業生の過去5年間の統計を取ったら97%が本州に就職している。卒業生が北海道に残るような企業を育てたい。


永田@北大 CAMUIロケット
 日本の宇宙開発は奇跡的でいびつである。奇跡的なところは敗戦国なのに宇宙先進国であるというところ。これはドイツと比較するとよく分かる。かといって国が何かをしたわけではない。過去に日本国が宇宙開発にやったことは2つしかない。平和利用の決議とスーパー301条での衛星自由化。どっちもじゃまです。国はじゃましかしていない。
 また、いびつだというのは、開発機関であるべきJAXAが宇宙の最大のユーザーであるということ。ロケットエンジンはすごい技術を持っているのに燃料として水素しか燃やしたことがない。宇宙でのランデブー技術はあるのに地上回収の技術を持っていない。宇宙飛行士を輩出しているのに日本独自の有人飛行計画はない(これは軍人を乗せられないから。過去に有人飛行をやった国はみんな軍人が乗っている)。ロケットがH2ロケット一種類だけで他のロケットが存在していない。

 以上のことがいびつで奇跡的だということ。日本の宇宙開発は国策ではなく、一部の人たちのがんばりによってなされた。だから人材の層が薄い。
 国がやるべきことは国がやるべきだ。だから今回の宇宙基本法には万々歳だ。そして民間がやるべきことは民間がやる。人材育成は短期ミッションをぐるぐると回すことで成り立つ。かつてそれは「戦争」だった。ただ戦争をもう一度やるわけにも行かない。今は民間でやる。小型の産業を作って人材を作る。まずは弾道飛行からはじめるべきだろう。宇宙拠点としての北海道を目指す。


植松@植松電機
 今の問題は「真のエンジニア」の不足である。「真のエンジニア」とはパイオニアのこと。今のエンジニアは過去に安住して自分の頭で考えない保身者ばかりである。この解決策として現在の植松電機では宿泊や研究が可能な新しい研究施設を3億円の借金をして作っている。

 宇宙を使って社会問題を解決して人材育成をする。この中で一番重要なことは人材育成だ。宇宙開発では「more」を求められる。だから人材育成の方法として適している。宇宙をしながら他のこともやって利益を上げる。それを繰り返す。その場であるべきだ。
 (世界地図を示して)ロケットを打ち上げるには東に開けた海が必要。北海道は東に海が開けていてロケット打ち上げ場として適している。
 現在のロケットが大きいのは載せる衛星が大きいからだ。衛星が小さければロケットだって小さくて成功する。

 あきらめてしまったら、すばらしい過去でもつらいことになる。逆に、あきらめなければつらい過去でも感謝の対象になる。過去と付き合うには「これから」を大事にする。


佐鳥@道工大 小型衛星開発
 100年後は宇宙時代。
「あるべき未来」を考えてそこから現在を考え直してみる。100年後の人類は月や火星に住んでいるだろう。これまでも人類は発展を目指してきた。これからは宇宙に向かうべきだ。現在の地球にはさまざまなストレスがあるがそれらは宇宙に向けるべき。日本は平和的に宇宙開発を行ってきたので、世界の中で宇宙の平和利用をいえる唯一の国である。
 宇宙時代では民間の競争が必要だ。産業化が行われるべき。それは、1.宇宙産業、2.スピンオフ産業、を作るべきだ。
 日本国民は未来に投資をするべき。「宇宙事業債」のようなものをつくってもよいのではないか。
 飛行機のように安全性の高い、誰でも乗れるロケットを作るべきだろう。
 国としてブレークスループログラム(夢のような途方もない計画)をするべきだ。


東野@室蘭工大
 現在の室蘭工大では革新的な飛行技術の開発をやっている。それらはJAXAとの共同で行っている。
 教育・研究の場を提供している。ものづくりのノウハウを促進。
 人材育成としてはチャレンジングな人材を育成したい。
 産学連携も進めたい。


中村@スペースタイム サイエンスコミュニケーター
 外野(科学技術コミュニケーター)の意見として述べさせてもらう。
 現在の問題意識としては、「今日の技術を明日に飛ばせない」ということがある。宇宙ステーションの「きぼう」にしても7年前の技術だった。現在の最新技術をすぐに飛ばしたい。それこそ明日には飛ばして、明後日には売る、みたいな。海外に技術が売れるようになったという点で宇宙基本法には賛成してもよいかもしれないと思っている。

 北海道に期待することとして、オリジナリティの確立が上げられる。「小さなNASA・小さなJAXA」を目指してもダメだ。そして「北海道で宇宙をやっている」という意外性でやっていくのも終わりにするべきだろう。これからは「北海道だからこそ」といわれるようにならなくてはならない。

10年後は、「超民間化とプロフェッショナル育成の両立」であるべき。町の中でごくごく当たり前のこととして普通の人が宇宙開発をやっているようなところとして北海道があるべき。
 世界中からテストにくる「宇宙の試験場」に北海道はなるべきだ。



以上。

以下、質疑応答より、メモ書きの断片。

宇宙開発の採算性に対して。
 宇宙で金儲けをするべきではない。宇宙開発で能力を磨いて、その結果能力を高めて他の仕事をすればよい。

人材の受け皿の問題に関して。
 言われた実験を淡々とする研究者は要らない。自分で失敗を恐れずにどんどんやることが大切だ。

宇宙に何の意味があるのか?
 それは科学の意味とは、という問題につながる。現状に満足していない。だから問題を解決するために動く。その手段として宇宙開発が良い。

自分のような「ヒヨッコ」に対するアドバイスを
 自分のことを「自分なんて」と思わないことが重要だ。だから自分のことを「ヒヨッコ」なんて思う必要はまったくない。自信を持てるだけの実力をつけることが重要だ。それはやればいい。少しのことでもやれば自身になる。やったことがないというのならば、やればいいんだ。


「人材育成」というのは受身の感じがする。自分で育つ、ことが重要だ。最初から初任給をもらえるところに行くよりも、借金をしてでもベンチャーをする若者がそろそろ2-3人出てきても良いのではないか。1回本州に行くにせよ、また戻ってくるような場所に北海道がなればよい。

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